当院の滅菌・衛生管理について
安心・安全な診療環境を提供するために

松山の歯医者「宮崎デンタルオフィス」では、患者さまに安心して治療を受けていただけるよう、院内感染対策を徹底し、世界基準に準拠した滅菌・衛生管理を行っております。医療現場における感染リスクは、目に見えない唾液・血液・細菌・ウイルスなどを介して広がる可能性があるため、いかなる患者さまに対しても「感染の可能性がある」と仮定したうえで対応する 「スタンダードプリコーション(標準予防策)」 を基本方針としています。
使用する器具はすべて患者さまごとに交換
治療に使用する器具や機材は、患者さまごとに個別に管理し、徹底した洗浄・滅菌処理を施しています。滅菌処理が難しい器具や備品については、使い捨て(ディスポーザブル)製品を採用することで、交差感染のリスクを最小限に抑えています。
滅菌・洗浄設備もすべて医療用ハイグレード
当院では、世界的に高水準とされるクラスB規格のオートクレーブ(LISA)や、医療用自動洗浄器(ミーレジェットウォッシャー)を導入しています。これにより、人の手では取り切れない微細なタンパク汚れやウイルスまで確実に除去し、器具を常にクリーンな状態で保っています。
見えない部分こそ、妥協しない
衛生管理は、患者さまの目に触れにくい部分だからこそ、徹底してこそ信頼につながると私たちは考えています。当院では、スタッフ全員が感染対策に関する知識と技術を習得し、日々の診療の中で実践しています。滅菌・衛生管理は、単なる作業ではなく「医療の質」を左右する重要なプロセスであるという意識を持ち、継続的な改善と教育を行っています。
スタンダードプリコーションとは
すべての患者さまを「感染の可能性がある」と仮定して対応する
スタンダードプリコーション(Standard Precautions)とは、「標準予防策」とも呼ばれ、すべての患者さまが何らかの感染症を保有している可能性があると想定し、常に一定の感染対策を行うという医療の基本的な考え方です。これは、HIVやB型・C型肝炎ウイルス、新型コロナウイルス、インフルエンザウイルスなどの感染症が、無症状でも他者に感染する可能性があることを前提にした安全管理の概念です。
飛沫・血液・体液・粘膜などすべてに対応
スタンダードプリコーションでは、血液・唾液・体液・排泄物・傷のある皮膚・粘膜など、感染の可能性があるすべての物質に対して注意を払います。歯科医療は特に血液や唾液との接触が多く、感染リスクが高いため、この考え方が極めて重要となります。
当院での取り組み
当院では、スタンダードプリコーションに基づき、以下のような対策を徹底しています。
- 医療用グローブ、マスク、ゴーグルの常時着用
- 患者さまごとにグローブや器具を交換し、使い捨て製品の積極的使用
- 手洗い・手指消毒の徹底
- 器具の完全滅菌およびディスポーザブル化
- 診療チェアや操作パネルの清拭・消毒
- 口腔外バキュームによるエアロゾル対策
こうした感染対策を「特別なこと」ではなく「当たり前のこと」として日々実践することで、すべての患者さまにとって安全・安心な診療環境を維持しています。
ミーレジェットウォッシャー
人の手では落としきれない汚れを確実に除去

ミーレジェットウォッシャー(Miele Jet Washer)は、医科・歯科業界で高く評価されている医療用自動洗浄機です。当院では、使用済みの治療器具をすべてこの機器で徹底的に洗浄しています。人の手による洗浄では除去しきれない血液や唾液などのたんぱく汚れを、高温の水流と専用洗浄剤によって強力かつ均一に洗い落とすことが可能です。
洗浄・消毒・乾燥までを自動で
ミーレジェットウォッシャーの特長は、洗浄・すすぎ・熱水消毒・乾燥のすべての工程をワンステップで自動的に行えることです。内部温度は最大93℃にも達し、消毒効果も非常に高いため、次の滅菌工程に移行する前の「予備処理」として極めて信頼性の高い方法です。

感染リスクのある器具にも安心
特に歯科治療では、タービンやコントラなど内部構造が複雑で、細部に血液や唾液が入り込む器具も多く存在します。ミーレジェットウォッシャーは、そうした器具の内部まで強力に洗浄・消毒する機能を持っており、交差感染のリスクを大幅に低減できます。
確かな「洗浄」が、確かな「滅菌」につながる
滅菌の効果を最大限に発揮させるためには、その前段階である洗浄の精度が極めて重要です。ミーレジェットウォッシャーを導入することで、器具に付着した微細な汚れを徹底的に取り除き、次工程であるクラスBオートクレーブによる滅菌処理の信頼性をより一層高めています。
クラスB滅菌器LISA
世界基準「クラスB」準拠の最上位滅菌システム

当院では、ヨーロッパ規格EN13060に準拠した「クラスB」滅菌器である「LISA(リサ)」を導入しています。クラスBとは、ヨーロッパで最も厳しい基準をクリアした高性能オートクレーブの分類であり、歯科医療においてあらゆる器具を完全に滅菌できる最上位の性能を誇ります。
このLISAは、通常のオートクレーブでは対応しきれない中空構造の器具(タービン・コントラなど)や細径の器具、繊維製品なども完全に滅菌できる点が大きな特徴です。
真空状態を作り出す高度なプレポストバキューム機能
LISAは、プレバキューム(滅菌前の真空状態)とポストバキューム(滅菌後の乾燥)の機能を備えており、器具のすみずみにまで蒸気を行き渡らせ、残留空気や湿気をしっかり除去します。
これにより、滅菌効果を最大限に高め、同時に器具の乾燥状態も良好に保つことができます。

トレーサビリティ(履歴管理)による安全性の証明
LISAには、滅菌ごとの工程記録を自動で保存するトレーサビリティ機能も搭載されています。これにより、万が一の事態においても、いつ・どの器具が・どのように滅菌されたのかを正確に把握することが可能です。これは患者さまにとっても医療機関にとっても、大きな安心材料となります。
清潔の「見える化」と信頼の提供
目に見えない「滅菌」の世界だからこそ、当院では使用する機器にも最高レベルの性能を求めています。LISAによるクラスB滅菌は、国内の歯科医院全体でも導入率はまだ高くありませんが、当院では患者さまの安全を最優先に考え、積極的に導入しています。すべての診療が、徹底した衛生管理のもとで行われているという信頼の証として、これからも滅菌体制を強化してまいります。
スリーウェイシリンジ
水・空気・スプレーを使い分ける診療に欠かせない機器

スリーウェイシリンジとは、診療中に「水(ウォーター)」「空気(エアー)」「霧状のスプレー(水+空気)」を使い分けて噴出できる器具です。歯科診療においては、治療部位の洗浄や乾燥、視野の確保など、極めて重要な役割を担っています。日々の診療に欠かせないこの器具もまた、確実な感染対策が必要なポイントの一つです。
患者様ごとに交換・滅菌
日本では、エアーや水が出る「スリーウェイシリンジ」を患者様ごとに取り外し、オートクレーブにて滅菌を行っている歯科医院は、少数派です。
スリーウェイシリンジは、粘膜に触れたり、唾液が付着したりで、感染の可能性もあるような状態になりがちです。当院では、患者様ごとに交換し、オートクレーブで滅菌しています。
タービン・コントラ
歯を削る器具だからこそ、最も厳格な滅菌管理が必要
タービンおよびコントラ(コントラアングル)は、歯を削るために使用される高回転の切削器具で、歯科治療において最も頻繁に使用される医療機器の一つです。治療中には唾液や血液が飛散するだけでなく、器具の内部まで汚染されるリスクが非常に高いため、最も徹底した滅菌対策が求められます。

使用ごとに必ず滅菌・個別パッキング
当院では、タービン・コントラはすべての患者さまごとに交換し、個別にパッキングしたうえで、クラスB滅菌器により完全滅菌しています。また、ミーレジェットウォッシャーで内部の汚れを高温で確実に除去した後、滅菌工程に進むことで、器具内部に残った目に見えない血液・タンパク質・微生物も完全に除去します。
「内部構造の滅菌」こそが交差感染防止のカギ
タービンやコントラのような複雑な内部構造を持つ器具は、外側を拭いただけでは不十分であり、内部にまで蒸気をしっかりと浸透させる「真空滅菌」が必要です。国内では未だ使い回しの実態が報告されている分野でもありますが、当院ではそうしたことが決して起きないよう、世界基準の滅菌体制を構築しています。
患者さまごとの「清潔な器具」で診療
治療中に使用される器具の清潔さは、患者さまの目には見えにくいものです。しかし当院では、「見えないところにこそ誠実に向き合う医療」をモットーに、タービン・コントラを含むすべての切削器具を患者さまごとに清潔な状態で使用しています。これが、私たちの基本姿勢であり、信頼される歯科医療を提供するための最低限の責任だと考えています。
滅菌パック
器具の清潔を「滅菌後」まで保つために

器具をどれだけ丁寧に洗浄・滅菌しても、その後の保管や運搬時に再び細菌やウイルスに触れてしまっては意味がありません。そこで当院では、治療器具を滅菌処理した後すぐに「滅菌パック(滅菌バッグ)」に封入し、使用直前まで完全密封の状態で管理しています。
滅菌状態を長期間維持できる特殊構造
滅菌パックは、高温高圧の滅菌処理に耐える特殊なフィルム素材と不織布で構成されており、外部からの汚染を遮断しながら内部の滅菌状態を保つことができます。これにより、パックを開封する瞬間まで器具は清潔な状態を維持され、患者さまごとに安全・安心な治療が提供できます。
パックには滅菌の証明も記録
当院では、滅菌パック一つひとつに滅菌日・使用期限・滅菌サイクル番号などを記録しており、必要に応じて滅菌履歴をさかのぼって確認できる体制を整えています。さらに、パック内に滅菌インジケーターを同封することで、外見からも滅菌処理が確実に行われたかを判別できるようにしています。
封を開ける瞬間まで、患者さまのために
器具が患者さまの口に入る瞬間まで、無菌状態を維持することは、感染対策の基本であり最も重要な工程の一つです。当院では、「清潔な器具を清潔なまま使用する」ことを徹底するため、滅菌パックの活用を標準化し、常に最適なタイミングで開封・使用するようにスタッフ全員が統一した管理を行っています。
口腔外バキューム
治療中に発生する「目に見えない飛沫」を強力に吸引
歯科治療では、歯を削る際や超音波スケーラーを使用する際などに、目には見えないほど微細な唾液・血液・歯の削りカスなどを含む「エアロゾル(飛沫)」が大量に発生します。これらは空気中に長く漂い、感染リスクを高める要因となるため、対策が不可欠です。
当院では、診療チェアごとに「口腔外バキューム」を設置し、治療時に発生するエアロゾルや粉塵を口の外で即座に強力吸引することで、診療室内の空気環境を清潔に保っています。

空気感染・飛沫感染リスクを最小限に
口腔外バキュームは、高性能フィルターと強力モーターを搭載しており、治療時に発生するあらゆる微粒子を瞬時に吸い取ります。これにより、空気感染・飛沫感染のリスクを大幅に低減し、患者さまご自身だけでなく、院内スタッフや次に使用する患者さまへの感染防止にもつながります。
無菌的な空間づくりの一環として
近年では、エアロゾル感染への意識の高まりとともに、口腔外バキュームの重要性が再認識されています。当院では、診療空間を限りなく無菌的に保つことを目指し、滅菌・消毒だけでなく空間レベルの対策にも取り組んでいます。
音や見た目も配慮した機種を選定
口腔外バキュームは「音がうるさい」「圧迫感がある」といった印象を持たれることもありますが、当院では低騒音かつコンパクトな設計の機種を導入し、患者さまにストレスを与えない診療環境づくりにも配慮しています。
ディスポーザブル
使い回さない。それが最大の感染予防
ディスポーザブル(disposable)とは、使い捨て専用の医療器具や備品を指します。治療に使用した器具や備品を再利用せず、患者さまごとに新しいものを使用し、その都度廃棄することは、院内感染予防の基本にして最も確実な手段の一つです。当院では、あらゆる場面でディスポーザブルの活用を徹底しています。
当院で使用している主なディスポーザブル製品
- グローブ(医療用手袋):患者さまごとに新品を使用し、診療ごとに確実に交換します。
- 紙コップ・エプロン・トレー:診療時に使用する備品もすべて使い捨てで管理。細菌・ウイルスの媒介を防止します。
- スリーウェイシリンジのチップ:毎回新品に交換し、器具内部からの交差感染を防止。
- 注射針・麻酔カートリッジ:針や薬剤カートリッジは再利用せず、すべて一度限りの使用です。
- ミラー・ピンセットなど:必要に応じて、滅菌済みの使い捨て器具を用いることで、より確実な感染対策を実現しています。
見えないリスクに、最大限の配慮を
感染症のリスクは、目に見えるものではありません。特に歯科治療では、唾液・血液などを介してウイルスや細菌が他の患者さまへ伝播するリスクが常に存在しています。当院では「大丈夫だろう」という楽観的な考えは一切排し、「念のため」を「当たり前」にする感染対策を徹底しています。
ディスポーザブルの徹底は、医療への信頼につながる
高品質な医療を提供するためには、技術だけでなく「衛生」に対する姿勢も極めて重要です。患者さまごとに清潔で安全な環境を用意することは、医療人として当然の責任であり、信頼される歯科医院のあるべき姿です。当院ではこれからも、ディスポーザブルの活用をはじめとする衛生管理の徹底に努めてまいります。